Answer
WTCの災害を受けてアスベストに関しては、以下のレベルがクリアランスの基準とされている。アスベスト:0.9f/L [*1]日本と比べ、厳しい規準での運用がなされている。アメリカは、更に州レベルで規制が行われている。多くの州は石綿を有害大気汚染物質(HAP)という扱いとしているが、ワシントン州では、4×10-5[f/ml](4×10-2[f/L]=0.04[f/L])という値を設けており(数式中の[ ]は単位)、これはEPAのユニットリスクから生涯死亡率10~5を考慮した値だと思われる。[*2]ドイツでは、労働環境に関する技術指針をBAUAという労働安全衛生の連邦機関(英語名は、Federal Institute for Occupational Safety and Health)が、2005年10月にTRGSというドイツ版技術指針を示しているが、519という中にアスベストに関する取り扱いを示している。石綿は一定の濃度以下なら安全とは言えないという考えにたち、あらゆる防護策を求めているが、0.5f/Lを下回る場合(同文中で濃度は立米表示だが、以下リットル表示で示す)は防護策を削減して良いとしている。以下に概要を示す。
- TRGS900以降、大気環境に関する(石綿の)限界値はない。
- 以下の例外を除いて、あらゆる防護策をとることが要求される。
- 例外として、短期作業の場合(150f/L)、小規模曝露の場合(15f/L)のみ、括弧内の濃度の範囲内で、防護策を削減する余地ある。
- アスベストが弱く固定された(飛散性)材料の除去修復作業に関して、以下の濃度を下回る場合にのみ、上記の規定が適用外になりうる。「VDI 3492 sheets 2」という規定に基づいて測定された結果が0.5f/Lを下回る場合(ポアソン分布に基づく95%上限値が1f/L)。[*3] [*4]
イギリスやフランスは、建物内の石綿濃度が電子顕微鏡(TEM)で一定濃度(25線維/L)以上の場合に、吹きつけ石綿除去という基準を設けているようです。
[*1] World Trade Center Indoor Environment Assessment: Selecting Contaminants of Potential Concern and Setting Health-Based Benchmarks: The Contaminants of Potential Concern (COPC) Committee of the World Trade Center Indoor Air Task Force Working Group: 1-57,May 2003
[*2] TOXICOLOGICAL PROFILE FOR ASBESTOS: U.S. DEPARTMENT OF HEALTH AND HUMAN SERVICES, Public Health Service Agency for Toxic Substances and Disease Registry (ATSDR): 197-204, September 2001
http://www.atsdr.cdc.gov/naer/site-kit/pdffiles/ToxProf441pp.pdf
[*3] Guidelines for the assessment and restoration of weakly bound asbestos products in buildings (asbestos guidelines, January 1996)
[*4] BAUA: Group 4,6 “handling chemicals、Asbestos Composition from regulations to the Inverkehrbringen and to Protection of the employees in the Federal Republic of Germany: Dortmund, 1-4, October 2005