Question

水道水にアスベストが含まれているそうですが、日本の水道水の濃度を教えてください。水道水の高い地域の水を食事や入浴で使うと、家の中の濃度はどうなるのでしょうか? その水道水を使った加湿器(特に超音波式)が危険という論文を目にしました。自分は昔かなりの期間超音波式加湿器を水道水で使っていました。やはり超音波式加湿器は危険なのでしょうか?

Answer

東京都の1989年の島嶼や多摩地域の水道用原水の石綿繊維は、定量限界(7,500本/L以下)の原水が小笠原、新島、利島で見られたが、大島3万本/L、三宅島75,000本/L、奥多摩町や桧原町で112,500~120,000本/Lでした。繊維サイズは長さ0.2~1.0μmや1.0~5.0μmがほとんどで、5.0μm以上は検出されず、繊維はクリソタイル (白石綿)でした[*1]。秋田のクロシドライト (青石綿)石綿水道管使用地域の石綿繊維は2,7万~27万本で、繊維のほとんどがクロシドライトでした。一方水源は同じですべて塩ビ管地域の石綿繊維は、検出されませんでした[*2]。活性炭のみ使用した浄水器は長さ10μmの石綿繊維は除去されるが長さ0.2~1.0μm未満や1.0~10.0μm未満の石綿繊維は除去されません。活性炭と直径0.01~0.1μmの中空糸膜を使用した浄水器では長さ10μm以上、長さ0.2~1.0μm未満、1.0~10.0μm未満の石綿繊維のすべてが除去され、石綿繊維は検出されませんでした[*3]。水道水中の石綿濃度が高い家だと空気中の石綿濃度はどうなるのでしょうか? 水道水中の石綿が17~31.0百万本/L(クリソタイル16.0~29.3百万本/L、角閃石系1.6~1.7百万本/L)の家の、空気中の石綿濃度は0.073~0.19f/cm3、0.15~2.6百万本/L(クリソタイル0.14~2.47百万本/L、角閃石系0.0~0.15百万本/L)の家の空気中の石綿濃度は、0.028~0.046f/cm3でした[*4]。建材等の石綿飛散元は想定しにくい家で、水道水の石綿が家屋内に飛散したものと考えられました。加湿器の水道水の石綿濃度に対応して超音波加湿器からの大気中石綿濃度が高くなると報告されています[*5]。0.001BAS/Lで0.003structures/cm3, 0.01BAS/Lで0.029structures/cm3, 0.0875BAS/Lで0.25structures/cm3, 1.8BAS/Lで5structures/cm3, 10BAS/Lで29structures/cm3, 140BAS/Lで406structures/cm3でした。確かに加湿器の石綿は部屋の空気の濃度を高くしますが、すぐ大気等に拡散し濃度は低くなります。著しく高濃度の石綿が含まれた水の超音波加湿器使用は問題ですが、日本の水道百万~1000万本/L(0.01~0.1BAS/L)ならばリスクは少ないように思われる結果です。地域の水道とそのパイプの劣化の確認が問題でしょう。

[*1] 小輪瀬勉他、水中のアスベスト繊維に関する調査研究(第2報)、東京衛研年報、39,259-263,1988

[*2] 斉藤勝美、アスベストセメント管に由来する水道水中のアスベスト繊維濃度とその形態、日本衛生学雑誌、47、851-860、1992

[*3] 小輪瀬勉他、家庭用浄水器によるアスベスト繊維の除去試験、東京衛研年報、39,259-263,1988

[*4] Weber JS et.al., Asbestos-contaminated drinking water:Its impact on household air Environ Res 46(2) 153-167. 1988

[*5] Hardy RJ, Indoor Asbestos Concentration Associated with the Use of Asbestos-Contaminated Tap Water in Portable Home Humidifiers,Environ Sci Technol, 26 (4), 680-689,1992

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2009年段階の内容です。