Question

屋根工ですが、石綿スレート板をつけかえるとき不安です。波板スレートの飛散の危険は、どのくらいでしょうか?

Answer

スレートなどのアスベスト含有建材を破砕しながら除去するとアスベスト粉じんが飛散することが知られています。バールなどで破砕しながら除去作業を行うと、リットルあたり数千本のアスベスト繊維が発生します[*2]。例えば仕事でアスベストを使用して1リットル当たり150本のアスベストに曝露する場合、一日8時間週40時間の曝露を50年間続けた労働者の1000人に一人はガンを発症するとされています[*1]。仮に石綿含有スレート材の破砕除去時に1リットル当たり1500本の石綿に同様の条件で曝露した場合は100人に一人ガンが起きる可能性があります。このような作業は実際には毎日8時間おこなうわけではないですが、こうした高濃度の曝露が度重なることにより数十年後にガンを発症する可能性が増していきます。除去作業の周辺での濃度は作業場と比べて10分の一から1000分の1程度かもしれませんが、発ガンリスクを上げることは間違いありません。以上から「石綿障害予防規則」や「大気汚染防止法」などにより建築物の解体・除去作業の際のアスベスト粉じんの飛散防止対策についての規制があります。スレート板の場合は散水などにより材料を湿潤化して飛散を抑制し、さらに破砕せずに除去することが必要です。これらの対策が適切に実施されれば、気中石綿濃度は上昇することなく、作業する人も周辺の住民も石綿に曝露されることはありません。

[*1] 日本産業衛生学会による許容濃度の勧告、クリソタイルの場合
[*2] アスベストセンターホームページ 様々な建築アスベスト濃度