Question

地震の際に石綿が飛散する地域で緊急判定作業に従事すると、どの位の石綿を吸入するのでしょうか?心配です。

Answer

地震の際の応急危険度診断では、被災地の大気と同等の濃度を吸入する事は確かにあると思われます。その濃度は、1繊維(f)/L~3繊維(f)/Lの場合が多く、民間の判定士の方が、被災地に滞在する時間が10時間/日で最大7日とすると、被災地で吸入する石綿繊維=(1~3)[繊維(f)/L]×60[時間]×10[時間]×7[日]=(4,200~12,600)[本]となります(数式内の[ ]は単位)。通常の都市の大気で毎日1日に1440~2880本は吸入しているので、いつもの3~5倍程度は吸入する事になります。一方1970~90年代に、建築現場で石綿製品を切断したり掃除したりする側に年間10時間いた方は、建築士さんで案外多く、その際の石綿繊維は500本/Lの環境で、その際に吸入した石綿繊維は300,000本(30万本)でしたから、過去の吸入と比べるとわずかとも言えるでしょう。

Categories C)-3地震

2009年段階の内容です。

Question

地震の際には、被災地の大気で石綿濃度が上昇するとされていますが、どの位でしょうか?

Answer

大気中には、1繊維/L~数繊維(f)/Lの場合が多いようです。環境省資料(第2回委員会に提出されたもの)を参照してください。被災地で数100繊維(f)/Lの報告もありますが、それは地震後1~2ヶ月たって吹き付け石綿の対策を全くとらずに解体を実施した解体場所の測定結果です。応急危険度判定を行う地震後数日から2週時には、建物解体作業が行われる時期ではありませんので、大気中は、1繊維/L~数繊維(f)/Lの場合が多いようです。

中皮腫・じん肺・アスベストセンター 地震

Categories C)-3地震

2009年段階の内容です。

Question

1970年頃から使用された石綿屋根材は本来必要だったのでしょうか?

Answer

石綿(アスベスト)屋根材は、1970年代から日本瓦や板金屋根に、スレート屋根に変わって、軽量等もあってか使用されることが増加しました。そして1990年代からノンアス製品が増加しはじめ,2004年には主要メーカーが生産を中止しました。元々複数の製品があった中への参入ですし軽量・耐火という利点もあったと思いますが、既に健康問題が明らかな時期に、他の物質を使用する努力も出来たと思われますので、本来必要性がありやむをない製品ではなかったと思います。

Question

吹き付け石綿は、本来必要だったのでしょうか?

Answer

アメリカの高層建築は1910年代にたっていますが、吹き付け石綿開発前ですからその他の耐火材が使用され、今もたち続けています。吹き付け石綿開発前は鉄骨に金網のラス網を巻いて左官工がモルタルを塗っていたのです。日本の最初の高層建築の霞ヶ関ビルも石綿(アスベスト)含有板を使用し、吹き付け石綿ではありませんでした。吹き付け石綿は施行が早いというメリットはあったのでしょうが、絶対に必要な製品ではなかったから多くの国で1970年代にすぐ禁止出来たのではないでしょうか。

Question

石綿水道管は必要だったのでしょうか?

Answer

石綿水道管以前に、上水道には鋳鉄管が使用されており、現在は改良されたダクタイル鋳鉄管が使用されています。石綿水道管は当初から割れやすく技術的には問題が多い製品として位置づけられていたようで、簡易水道や農業用水や上水道需要が急増した地域に使用された製品のようです。交通量増加で管の破裂をしばしば起す製品技術の問題、石綿の健康影響から、1970年代に製造企業3社のうち2社が生産を中止します。安さを主な理由として生産された製品として必要だったという意見もありますが、それならビニール系水道管もあるわけですし、絶対に必要な製品ではなかったら主要2社がすぐ止めたものと思います。

Question

私は鉱石のアクセサリーをよく身につけるのですが、虎目石(タイガーズアイ)や鷹目石(ホークスアイ)が アスベスト(青石綿 (クロシドライト) )などから既成された石であることを 知りました。とくに青石綿が茶色く酸化した虎目石は、ちまたでも よく身に付けている方を見かけます。大丈夫だとは思うのですが、虎目石(タイガーズアイ)や鷹目石(ホークスアイ)の安全性についてお分かりでしたら お教え下されば幸いです。

Answer

もう少し詳しい内容をお聞かせ頂けると助かります。相談で写真を送られる事は可能でしょうか? また、飛散に関しては何かでコーテイングされているようでしょうか?その状態で安全性は異なると思います。

Question

私は30代前半ですが、周りの年齢の近い方々とよく話題になるのは、石綿と小学生の理科の実験のことです。理科の実験の下に、アルコールランプを使う際、セットでよく使わされたのは石綿でした。その石綿からの被害はないのでしょうか? 発ガンの確率が低いとしても、発ガン性のあるものを素手で直に触り、もちろん防塵マスクなど着けず、顔を近づけて実験をしていたことを思い出すと、かなりの不安を覚えます。もし発ガンの確率があるならどの程度なのでしょうか?

Answer

①石綿つき金網の事を言われているのだと思います。現在は石綿非含有の金網が多いのですが、当時は石綿含有だったと思います。石綿付き金網の使用時の石綿濃度の報告がないようですので、正確な回答はできないのが現状です。

②ただ類似の石綿布等の製品も、通常は石綿は飛散しません。金網をこすり合わせる、破るという様な行為をされた場合にのみ飛散すると予想されます。実験でランプの上に載せて、通常の使用をした方は、ほぼ吸入していないと思います。それ以外の事をされた場合は、再度ご相談ください。

Question

私どもは水産物を輸入しておりますが、輸入先は石綿の産地らしいのです。石綿が水産物の内容物(内臓)に残ることがあるのかということが一つ、アスベストで施工した建物の中で加工した場合のその商品に対しての影響は? 2つ目は付着した場合それを食べた場合という意味でもあります。合せて教えていただけないでしょうか。

Answer

魚と石綿に関する研究は、ほとんど行なわれていないのが実情です。色々調べた中で参照の二つ論文から、分かっている部分をご紹介いたします。角閃石系の石綿が水に含有されているアメリカのスーぺリア湖や、クリソタイル (白石綿)が水に含有されるカナダケベックのハドソン湾で捕獲された2~10年目の魚類に、自然の餌や実験室の餌を与えた後に、透過型電子顕微鏡TEM1万倍で石綿繊維を観察しました[*1]。角閃石系の石綿繊維は腎臓で8.3~1246.7本/mg(8300~124万6700本/g)、筋肉で1.0~3.7本/mg(1000~3700本/g)、肝臓で20.5本/mg(2万5百本/g)測定されました。クリソタイルは、腎臓で5.4~230.5本/mg(5400~23万500本/g)、肝臓で6.5~20.5本/mg(6500~2万500本/g)、筋肉で0.7~36.7本/mg(700~3万6700本/g)でした。角閃石系の石綿濃度の高い河口や湖で捕獲された魚の腎臓や肝臓等からは角閃石系の石綿が高濃度で検出されました。石綿繊維が魚類の体内でどう吸収され、どう分布するのかは記載した研究は見当たりませんでした。もう一つ実験室内でクリソタイル石綿を様々な時期のメダカに与えて、様々な変化を検討する研究があります[*2]。卵の時期にクリソタイルを一億本/L与えてもほとんど変化は起きませんが、Larvalや思春期のメダカでは100万~一億本/Lで成長が止まり始め、100億本/Lの環境で56日飼育すると全数死に至りました。その際のepidermal部分を電子顕微鏡で見るとクリソタイルが集積し、約5%にplaqueが認められました。ヒトでは石綿が出産や子供の成長に影響を与えるとした報告は極めて稀だと思います。魚と石綿の研究は少なく、魚類の魚と哺乳類のヒトでは吸入過程も異なりますので、どこまで参考とすべきか難しい部分があります。なお石綿繊維食事で摂取することの人体への影響は、水の石綿の摂取の影響も疫学調査では少ないとされているので、有っても極めて少ないと思いますが、調査は十分には行なわれていません。(2006年の回答です)

[*1] Batterman AR et al, Determination of mineral fiber concentration in fish tissues,Can J Fish Aquat Sci,38,952-959,1981
[*2] Scott E et al. Functional and Pathological impairment of Japanese Medaka by long year asbestos Exposure,

Question

園芸用品の中にゼオライトというものがあります。大手ホームセンターや園芸ショップでは簡単なビニールパッケージで売られています。挿し木に使っている薔薇業者など病気になっている人はいないのでしょうか。アスベスト含有と聞きますが?

Answer

ゼオライトは、石綿とは違う鉱物ですが、中皮腫等の同様の疾患を起こす事が、トルコのカッパドキア地域等で知られている物質です。注意して接しないといけない物質です。挿し木に使っている薔薇業者の病気については心配ですが、日本での報告例は現在はないと思いますが、今後の注意深い検討が必要だと思います。(2006年の回答です)

環境庁大気保全局企画課監修、石綿・ゼオライトのすべて,、日本環境衛生センター;東京:1987:477-501