Question

吸入したアスベストは肺に沈着するとされていますが、その後アスベストは体のどこに移動するのでしょうか?

Answer

吸入したアスベストは、肺の呼吸細気管支周囲に沈着します。動物実験レベルでは、吸入した粉じんの99%は、痰や気管支の繊毛の作用で排出され、1%が3ヵ月後も肺に残存するとされています。アスベストも同様に吸入量の多くは排出され、一部が肺に沈着すると予想されています。その後粉じんやアスベストは、リンパ流の流れにより肺門リンパ節を通り鎖骨下静脈から全身へ分布するとされています。ヒトの解剖例では、石綿繊維は肺に圧倒的に多数検出されますが、心臓や腎臓や肝臓や筋肉等血流を介して分布するしかない器官から検出されてくるのが特徴です。なお呼吸細気管支から臓側胸膜を経て胸水に達し、壁側胸膜のリンパ流に流れる経路も知られています。