Question

父は鉄道員で、車両の修理を長年していました。最近胸膜中皮腫と診断されました。鉄道関連の石綿疾患のリスクについて、おしえてください。

Answer

鉄道員で旧国鉄時代に特に車両の修理作業に従事されてた人の石綿関連疾患のリスクは非常に高いと考えていいと思います。旧国鉄を引き継ぐ鉄道建設運輸施設支援機構国鉄清算事業本部は、工場や機関区・電車区などの機関車や電車、貨車などの検修作業で中皮腫、肺ガン、石綿肺、びまん性胸膜肥厚を発症し、業務災害として認定した件数が124件あることを公表しています(国鉄清算事業本部HP平成9年11月9日付け)。同本部は、旧国鉄時代に石綿取り扱い作業に従事した対象者は約10万人もいると言っていますので、これからも旧国鉄職場で働いた人たちの石綿関連疾患の被害者は増えていくと考えられます。なお、国鉄民営化後、JRで働いて石綿関連疾患で労災認定された人は少なくとも3人いることがわかっています(JR東日本長野総合車両センターで1人、JR東日本鎌倉総合車両センター1人、JR貨物1人、いずれも中皮腫)。

厚生労働省石綿に関する健康管理等専門家会議マニュアル作成部会編.石綿ばく露歴把握のための手引-石綿ばく露歴調査票を使用するに当たって-;2006:1-153

Question

以前建築の日雇い作業で石綿曝露し良性石綿胸水となりました。日雇い作業時の就業と石綿曝露の証明をしないと労災の手続きがうまくいかないといわれています。どうしたらよいのでしょうか?

Answer

良性石綿胸水の労災申請については、ほかの石綿疾病と異なり、全例、石綿作業と医学的所見などを労働基準監督署が調査した上で、厚生労働省本省に協議することになっています。監督署が単独で決定できず、診断も難しいとされていますから、専門家と慎重に検討した上で申請したほうがいいです。建築日雇いの就業と石綿ばくろ(石綿粉じんの吸入)については、本人以外に同僚一人以上の供述が必要です。現場ごとの年次・元請・下請・石綿の直接間接ばくろの状況などをまとめてください。転々労働者の石綿作業従事歴の事実認定については、2005年7月27日に厚生労働省補償課長より「石綿による疾病に係る事務処理の迅速化等について」という事務連絡(基労補発0727001号)が出されています。その中で、①耐火建築物に係る鉄骨への吹き付け作業、②断熱若しくは保温のための被覆またはその補修作業、③石綿スレート板等難燃性の建築材料の加工作業、④建築物の解体作業、⑦”①から⑥”の作業が行われている場所における作業に従事していたと判断できる場合には、石綿ばくろのおそれがないことが明白な場合を除き、被災者が石綿ばくろ作業に従事していたと事実認定するよう指示しています。つまり、上記作業についていたなら、石綿建材の種類とか細かい状況を必ずしもおぼえてなくとも、労災認定すべきだということです。(2006年度の回答です)

Question

造船所で事務職として40年勤務してきました。同僚の中には、石綿吸入を心配する人もいます。今まで造船場は工員でも一部の人しか年2回の特定化学物質の健診が行われず、石綿肺や中皮腫や肺ガンがでた職場の人が怒っては、健診対象が増える事が何度かありました。造船所の事務職でも中皮腫になった人の話を聞きますが、健診は必要ないのでしょうか?

Answer

造船所の職員の方が心筋梗塞や肝臓ガンや様々な病気で解剖された際の肺の石綿小体を調査した結果が報告されています。石綿小体数は、1000本以上が職業性曝露の基準とされているのですが、事務職含めた全職種で1000本以上でした。施行管理や試験立会い等で船内に入ることがあるのが造船工場の事務職ですし、作業服をきた現場工員と食堂含めて接するのも工場事務職です。工場と全く離れた本社事務なら別ですが。工員以外の職員の中皮腫の発症も報告されており、年2回の特定化学物質健診の対象であり、現在は全職種が、石綿則健診・石綿健康管理手帳の対象と考えられます。(2006年度の回答です)

Y.Natori, H.Ishiwata, H.Akabane et.al. The relationship between shipyard works, asbestos-associated pathological findings and number of asbestos bodies in autopsy lung. Advances in the Prevention of occupational Respiratory Diseases. :Elsevier Science ; 1998: 832-837

Question

アスベスト会社に勤めていた7年間、機関車や保温材製品を生産する工場にいました。マスクは着用しましたが、粉じんがひどかったです。労基署の検査時には作業中止して取り繕っていました。現在、病気ではありませんが咳、痰があります。

Answer

高濃度の石綿を吸入されたと思います。石綿関連疾患が疑われますので、アスベスト疾患に詳しい医療機関を受診してください。労災補償の対象となる場合もあるように思います。またわからないことがあれば、相談してください。

厚生労働省石綿に関する健康管理等専門家会議マニュアル作成部会編.石綿ばく露歴把握のための手引-石綿ばく露歴調査票を使用するに当たって-;2006:1-153

Question

現在60代で20代で1年半、溶接に使用するアセチレンガスのボンベにアスベストをつめる仕事をしていました。同僚とも40年以上交流がありませんので、現在の状況も判っておりません。記憶では当時は防塵マスク等もしておらず、手ぬぐいで口をふさぐ程度だったと思います。こういう仕事に従事していた人が総て発症するのかどうかも心配ですし、不安です。現在は何事もなく生活しておりますが、今後どうすれば良いのか、お聞かせ頂ければと思います。

Answer

そのころのお仕事でアスベスト粉じんを吸っていれば、中皮種や肺ガンなどの原因になる可能性はあります。お仕事でどのくらいの粉じん濃度の中で働いていたのかを確認する必要があります。仕事に従事していた人がみんな発症するわけではありません。個人差があり、現在何事もないとのことですが、ご心配であれば定期的に健康診断をして、肺のレントゲン写真等で確認をされたらいかがでしょうか。中皮種はタバコとの因果関係はないといわれていますが、アスベストを吸った方が喫煙を続けますと肺ガンになるリスクが上がることが知られています。もし、喫煙をされているようでしたら、禁煙することをお勧めします。

Question

私の父は紳士服の雛型の仕事をしていました。アイロンやアイロン台に灰色のものが20~50台あって、30年使っていました。現在、肺気腫と胃の具合が悪く入院中です。肺炎も40回くらいおこしています。アイロンの影響でしょうか? タバコは全く吸いません。

Answer

可能性はゼロとは言えない案件です。過去のアイロンの一部へのアスベストの使用、作業場の天井等に吹き付けアスベストがある場合もあったりしますが、今回の病状には関係ないかもしれません。肺気腫なのか、アスベスト肺か詳しい医療機関での説明が必要でしょう。

Question

戦後A船舶で3年間働き、石綿は船の壁に使われていました。その後数年間米軍基地の造船所で船内内装をしました。それ以降65歳まで大工業で丸ノコで石綿板を切断していました。現在、自宅で療養しています。降圧剤を服用し、痰が出ますし、息切れもひどくなっています。

Answer

中等度の石綿を吸入されたと思います。石綿関連疾患が疑われますので、アスベスト疾患に詳しい医療機関を受診してください。労災補償の対象となる場合もあるように思います。またわからないことがあれば、相談してください。

厚生労働省石綿に関する健康管理等専門家会議マニュアル作成部会編.石綿ばく露歴把握のための手引-石綿ばく露歴調査票を使用するに当たって-;2006:1-153

Question

S40年から10数年、A社の仕事として石綿を吹き付け機械に投入する仕事をしていました。その後も個人の会社で10年以上、岩綿(ロックウール)吹き付けの仕事をしました。親方は昨年死亡しています。痰はいつも出ます。息切れはひどく咳もあります。健康状態が心配です。

Answer

高濃度の石綿を吸入されたと思います。石綿関連疾患が疑われますので、アスベスト疾患に詳しい医療機関を受診してください。労災補償の対象となる可能性が高いように思います。またわからないことがあれば、相談してください。

Question

20代の前半で5年間、造船会社の銅工場でパイプ関連の新設、修理、取り付けの仕事をしていました。パイプのパッキング部分に石綿を使用していました。(糸を自ら編んで輪をつくり、締める)。その他、溶接なども行いました。マスクはしていません。そこを退職し鉄工所の溶接などを4年くらいやりました。その後Aホテル、B社、C社とボイラー室の管理を30年間ほどしていました。アスベストはボイラーの隙間のパッキングとして使用されていました。吹き付け材などもあったような気がします。現在は咳、痰、息切れなどはそれほどひどくありません。今後どうしたらよいでしょうか?

Answer

中等度の石綿曝露を長年受けられたと思います。石綿関連疾患になりやすい方ですので、アスベスト疾患に詳しい医療機関を受診して健診を年2回定期的にうけてください。石綿健康管理手帳制度の対象になる場合が多い様に思います。(2005年度の回答です)

厚生労働省石綿に関する健康管理等専門家会議マニュアル作成部会編.石綿ばく露歴把握のための手引-石綿ばく露歴調査票を使用するに当たって-;2006:1-153

Question

20年前浄化槽製造の工場でグラインダーで加工する仕事をしていました。その際にガラス繊維、FRP強化プラスチックの粉を大量に吸い込んでいます。期間は1年半の間でしたが、じん肺になる可能性はありますでしょうか? XPとCTを最近しましたが、異常無しと言われています。

Answer

吸入して20年で、最近も異常がないようですから、今のところ10年くらいはじん肺の心配はまずないでしょう。3年に1回の定期健診は必要ですし、石綿健康管理手帳の対象になるのか検討して下さい。(2006年度の回答です)