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現在までの疫学報告では、食道ガンとアスベストの関係はないようです。大腸ガンについてアスベストとの関係を示唆する疫学調査も以前ありましたが、腹膜中皮腫を大腸ガンと誤診していた場合もあり、現在アスベストと大腸ガンの関係はないと考えられています。
Questions and Answers to Risks about Asbestos
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現在までの疫学報告では、食道ガンとアスベストの関係はないようです。大腸ガンについてアスベストとの関係を示唆する疫学調査も以前ありましたが、腹膜中皮腫を大腸ガンと誤診していた場合もあり、現在アスベストと大腸ガンの関係はないと考えられています。
Question
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アスベストを経口から摂取したことによる発ガンや他の疾病は、今のところ明確な報告はありません。腹膜、心膜、精巣鞘膜の中皮腫も呼吸によって体内に入ったアスベストが血管かリンパを経由して標的臓器に到達すると考えられています。
他に気になったことは、
①アスベストリボンや布は未だ禁止されていませんので、流通している可能性があります。アスベスト含有のない代替品を使っているかどうか、チェックした方が良いと思われます。
②煙突には内部に断熱材としてアスベストを使っていることがありますので、防じんマスク等の防護は今後も必要と思われます。(2005年時点の回答)
Question
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石綿は、中皮に特異的な作用をもたらす物質である可能性が高いと思います。沈着量の多い、肺では上皮に肺ガンをおこしていますが・・・。
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受精した細胞が1細胞から分裂を始めていく発生の過程で、上皮、中皮、内皮が分化してきます。外の細胞が中に入り込んで、消化器や呼吸器や泌尿器を形成していきますが、上皮細胞の系統です。一方中では、筋肉や血液や血管や神経となる内皮細胞の系統が見られてきます。その間で、肺や心臓や消化器や精巣を取り囲むのが、中皮細胞の系統です。
亀井敏明編著.アスベストと中皮腫.東京:篠原出版新社;2007:1-299
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脳腫瘍と石綿曝露の関係はないと考えられております。
森永謙二編.改訂新版 職業性石綿ばく露と石綿関連疾患―基礎知識と労災補償―.東京:三信図書;2005:1-370
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石綿工場や石綿鉱山での永年の多数の疫学調査の結果でも、皮膚ガンの発症の増加は認めませんでした。アスベストは皮膚にガンを作らないとされていますので、御安心ください。
森永謙二編.改訂新版 職業性石綿ばく露と石綿関連疾患―基礎知識と労災補償―.東京:三信図書;2005:1-370
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この間の報道の足りない点だと思います。濃度と吸入期間で異なりますが、高濃度で平均20年間職業性曝露のあった日本の造船所の疫学調査で、石綿関連死亡は10%程度です。90%前後は肺に変化は生じても石綿の病気で永眠はされていません。海外の高濃度曝露の疫学調査でも石綿関連疾患による死亡者は1/2以下です。吸入者すべてが発病するわけではありません。
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吸入したアスベストは、肺の呼吸細気管支周囲に沈着します。動物実験レベルでは、吸入した粉じんの99%は、痰や気管支の繊毛の作用で排出され、1%が3ヵ月後も肺に残存するとされています。アスベストも同様に吸入量の多くは排出され、一部が肺に沈着すると予想されています。その後粉じんやアスベストは、リンパ流の流れにより肺門リンパ節を通り鎖骨下静脈から全身へ分布するとされています。ヒトの解剖例では、石綿繊維は肺に圧倒的に多数検出されますが、心臓や腎臓や肝臓や筋肉等血流を介して分布するしかない器官から検出されてくるのが特徴です。なお呼吸細気管支から臓側胸膜を経て胸水に達し、壁側胸膜のリンパ流に流れる経路も知られています。
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中皮は、ヒトだけでなく、犬や猫、牛や豚、ラット、マウス、ハムスターやイルカ等の様々な種類の哺乳類にもある細胞です。動物実験で中皮腫がおきている動物をあげてみると、ラットやマウスやハムスターがあり、イルカの中皮腫発症も知られています。石綿(アスベスト)工場周囲の犬や猫はどうだったのか、今後の調査報告が気になるところです。
Question
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乳児や幼児は特に石綿に感受性が高い証拠はないようで、同じ量の曝露を0歳でうけた人と10歳で受けた人と40年後の発症に差は見られないとされています。しかし曝露を受けてからの平均余命が異なりますから、年齢が低い時期に曝露を受けた方が、より発症しやすいのは確かです。