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ガラス繊維を扱う職業の方には以前からじん肺という病気が知られています。これは粉じんが肺の中に積もり引き起こしてしまうものです。また職業曝露では肺ガンの可能性もあります。アスベストのみならず、いわゆるほこりは吸ってよい物はありません。但し環境での低濃度曝露では、濃度が低いのでじん肺や肺ガンにはまずならず、またガラスで中皮腫や胸膜肥厚斑にはならないと考えられています。
Questions and Answers to Risks about Asbestos
Question
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ガラス繊維を扱う職業の方には以前からじん肺という病気が知られています。これは粉じんが肺の中に積もり引き起こしてしまうものです。また職業曝露では肺ガンの可能性もあります。アスベストのみならず、いわゆるほこりは吸ってよい物はありません。但し環境での低濃度曝露では、濃度が低いのでじん肺や肺ガンにはまずならず、またガラスで中皮腫や胸膜肥厚斑にはならないと考えられています。
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古い木造住宅であっても石綿スレート板などは1910年代から石綿を含有している製品があり、石綿含有建材を使用していた可能性はあります。このような建材を解体するために破砕しながら除去すると、作業場の空気中の石綿濃度は1リットル当たり数千本程度になることがあります。発生した石綿は空気の流れにより運ばれるので周辺では洗濯物に付着したり、戸内に入ることはありえます。新築については、2004年10月まで石綿含有建材が製造されており、その後も流通していた可能性があるので、それまでに建てられた建物には石綿含有建材が使用されていた可能性があります。新築時に石綿含有建材を切断研磨した場合も石綿が飛散している可能性があります。新築でも解体でも石綿含有建材を切断や破砕する場合はそれにより石綿の粉じんが飛散して、作業している人だけでなく周辺の居住者が曝露(石綿粉じんを吸い込んでしまうこと)してしまう可能性があります。危険の程度については解体された建物と新築された建物の含有建材の使用の有無と程度が不明の場合ははっきり示すことはできませんが、一回限りの曝露が原因で病気になる可能性はほとんどなく、曝露が繰り返されることにより少しずつ病気になるリスクが増加してゆくと考えられます。
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ニューヨーク市ウッドストックでは石綿セメント管由来の石綿が高い地区とされ、クリソタイル (白石綿)が0.7~1700百万本/L、クロシドライト (青石綿)等角閃石系石綿が0.29~148百万本/L(0.0も4地区あり)の結果となっています[*1]。水の中の石綿が高濃度になる由来としては、土壌の石綿から湖や川への流入、アスベスト水道管からの剥離等による濃度の上昇が疑われています。水のアスベスト自体は飲食では問題ないとされています。水道水中の石綿が17~31.0百万本/L(クリソタイル16.0~29.3百万本/L、角閃石系1.6~1.7百万本/L)の家の、空気中の石綿濃度は0.073~0.19f/cm3、0.15~2.6百万本/L(クリソタイル0.14~2.47百万本/L、角閃石系0.0~0.15百万本/L)の家の空気中の石綿濃度は、0.028~0.046f/cm3でした。建材等の石綿飛散元は想定しにくい家で、水道水の石綿が家屋内に飛散したものと考えられました[*2]。常時この濃度とすると健康障害が生じる濃度なので、気になる結果です。現在日本の大気には、0.1~0.3本/Lの石綿繊維があり、水道の水は乾燥して大気に飛散し一時的に室内は濃度が高まりますが、拡散し大気濃度に近づきくと推定されます。同様に大気中の石綿が衣類についたり飛散したりも絶えず起きている事と推定します。吹き付け石綿は洗濯でほとんど衣服に残らない事が報告されています[*3]。こうした大気、生活、水間の研究が少ないのが一つは問題です。
[*1] Weber JS et.al., Asbestos in drinking water supplied through grossly deteriorated A-C pipe.J Am Water Works Assoc 81(2).80-85.1989
[*2] Weber JS et.al., Asbestos-contaminated drinking water: Its impact on household air Environ Res 46(2)153-167.1988
[*3] Robert N Sawyer et al Asbestos Exposure in a Yale Building Analysis and Resolution, Environmental Research: Vol13 P146-169, 1977
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正しくありません。10f/L以下でも、石綿関連疾患の発症のリスクはあります。詳しくは国土交通省委員会報告書をご覧ください。
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日本では石綿工場から極端に近い所に民家があるため、高濃度曝露となるから、石綿肺も生じてしまうのです。
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石膏ボードにはS60年の一時期のみアスベストが入っていましたが、それ以外の時期であれば安心してください。石膏ボードの資料を送付します。環境団体と共に、自治体と交渉、住民による監査請求、労基署への調査依頼が必要になるかもしれません。
Question
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アスベスト含有建材のある工事できちんと届け出があるならば、自治体か所轄労基署が工事を把握しているはずです。電話してまず確認してみてください。もし肉眼的に吹き付け石綿等があり、届け出のない工事の可能性が高い場合は監督署と連絡して指導を要請する必要があるでしょう。問題がある場合はご相談ください。
Question
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アスベスト建材が不適切に処分場に持ち込まれることの徹底的な監視と、問題な処分場業者への監督を自治体に要請しましょう。また処分場周辺のアスベスト粉じん濃度の継続的な測定を行政に行わせる運動を起こすべきでしょう。粉じん濃度が一般環境濃度よりも高いことが判明すれば、自治体による指導や処分場業者の責任の問題などを、リスクコミュニケーションを形成する中で確認することが大事です。(2005年の回答です)
Question
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1985年の「アスベスト排出抑制マニュアル」によると、自動車運行の多い幹線道路で最大367f/ml、平均約100f/ml程度の著しい高値を示しています。繊維の多くはクリソタイル(白石綿)とされています。職業でクリソタイル150f/mlの環境で1日8時間、15才から50年間過ごすと1000人に1人の中皮腫と肺ガン死亡のリスクとされている事を対比させて考えると、幹線道路は石綿関連疾患になりやすい環境と言えます。幹線道路からの距離での濃度の検討、実際の胸膜肥厚斑や中皮腫の発症等、今後の実証的検討が待たれます。
環境省アスベスト発生源対策検討会、アスベスト排出抑制マニュアル;東京、ぎょうせい:1985
環境庁大気保全局企画課監修、石綿・ゼオライトのすべて,日本環境衛生センター;東京:1987:64-82
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法律(大気汚染防止法施行規則第16条の2)では、石綿製品製造工場の敷地境界の濃度10f/Lと定められています。しかし、この基準は、人の健康に与える安全基準ではありません。石綿製品製造工場周辺のアスベスト被害ということで言えば、クボタ・ショックとして大きな問題になった尼崎のクボタの旧神崎工場周辺1.5km以内に中皮腫や肺ガンなどの深刻な被害が広がっています。しかし、すべての石綿製品製造工場周辺で同じような申告な被害があるわけではありません。横浜市鶴見区にあった旧朝日石綿横浜工場周辺では、100m以内に中皮腫や肺ガンというよりも健康診断を受けて胸膜肥厚斑と診断された方が多いようです。いずれの石綿工場でも工場で働いた従業員にアスベスト被害が多発しています。ですから、先ずあなたの近くの石綿工場で従業員に被害が出ていないかどうかを調べてみる必要があると思います。あなたご自身の健康がご心配ならアスベスト疾患の専門医がいる医療機関で石綿健診を受けることをお勧めします。